2017.05.06

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2017年4月29日(土)に開催された「デジタル憲法フォーラム(デジ憲)」での細野豪志衆議院議員のゲストスピーチ全文書き起こしです。

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細野豪志です。今日はこういう場所に参加をさせていただいて大変光栄でございます。

あの先日、仁木さんが来られてノーネクタイでと言われたんですが、何となく石破さんと大村さんはネクタイしてくるような気がして、しかし、たぶん来てる人は相当ラフに来るだろうなと思いまして、中途半端な格好で来てしまいました。

後はね、こうやってこう、皆さん20代、30代ですか。

あの、皆さん、こうね、ノート、タブレットを持っている方々と、こうやって資料を持ってる私とのそのギャップを感じながら、しかも目の前にあるのこれは一体何だろうなと思いながらですね、360°カメラということですから、ちょっと夕方髭そってから来たら良かったなんてことを思ってますが、まあ色々ありますけれども、ぜひ皆さんとね良いディスカッションができればなというふうに思っております。

先日あの、憲法の改正の案を出しました。

中央公論という月刊誌で出したのですが、たぶんそれを読んでいる人はほとんどいないと思うんですね、なんでそんなものを出したのかということをまず少しだけ話をします。

私はですね、憲法というものはこの70年間に日本の中に相当定着してきただろうと思っています。

従って、ときどきですね自主憲法制定ということにこだわる人がいるんですが、もはやそのことにあまりですね、こだわっても仕方がないのではないかと。

先日ある学者の方がですね、こういうことを言ってましたね。

自分の両親は見合い結婚だったけれども、結構仲良く最後までやってたと、この例えが良いかどうかは別にしてですよ、たぶん憲法というのはまあある程度特に若い世代の皆さんにとってはなじみのあるものにはなってきただろうと。

ただ一方で、もう70年経ってますからね。

相当時代は変わった中でやっぱりその変化に対応できていないところがあるのであれば、そこは変えたほうがいいというのが私の思いなんですね。

ですからそろそろ私は冷戦時代の議論から卒業したいと思っていて、つまりですね、護憲か改憲かという議論ね、これはもうほとんど意味がない。

そうではなくて、どういう改憲ならいいのか、どういう憲法なら国民の皆さんは受け入れるのかというそういう議論に入ったほうがいいだろうということで、自民党以外の野党からも案が出てくることに意味があるんではないかということで、この間、提案したんですね。

主に3点。まあ主にというか、緊急性が高いものについて3点提案しました。

残りの議題については、例えば自衛権なんかは検討課題に入れたんですけど、いくつか提案をしたんですが、さっと説明します。

まず第1点はですね、あの、教育について書きました。

非常にね、いろんな方と話をして印象的だったのは、皆さん憲法26条って読んだことあります?

教育を受ける権利について書かれているんですが、非常に興味深いのはですね、あのー、義務教育の無償化っていう手段まで書いてあるのが26条の面白いところなんですね。

で、議論の経緯を調べてみますと面白い事がわかりました。

GHQがはじめに出してきた案はですね、初等教育の無償化だったんです。初等教育というのは皆さんおわかりの通り小学校ですね。小学校だけとりあえず無償化にしようという案がGHQから出てきたと。それに対して当時の帝国議会ですね、まだ。帝国議会が大議論をして小学校だけでは十分ではないということで義務教育すなわち中学校まで無償化したという歴史があるんですね。

それから70年が経過しました。このね、義務教育の無償化というのは戦後の発展に相当大きく貢献したと思います。70年経って教育環境ていうのは相当変わっている中で、21世紀型のね教育を受ける権利があっていいのではないか。

一つ例を上げます。幼稚園や保育園。今日来てる皆さんの中で幼稚園も保育園も行ってないという人はほとんどいなんじゃないですか。私の親の世代、戦中ですね。1941年、42年うちの両親はその世代なんですが、幼稚園、保育園には行ってないです。

戦後直後は幼稚園、保育園っていうのは世の中にほとんど無かった行ってない。

憲法できた時代はそういう時代だった。

しかし、今はどうでしょうか?

もうほぼ100%の子供たちが幼稚園も保育園も行ってますよね。

行ってないとするならば、例えば家でほんとにあの厳しい環境で虐待を受けているというような子供もいるかもしれないというのが心配される状況になっている。

ならば小学校や中学校の親よりも、幼稚園いってるその世代の親の方が所得が低いケースが多いわけだから、やっぱり幼稚園保育園も無償化するというそれくらいのことはやっても良いのではないか。

高校も同様ですね。高等教育というのはやや難しい問題がある。やっぱりですね、高校卒業して工業高校なんかで立派に働いている若者いますからね。18歳で納税者になっている若者と、そして18歳から大学に行くそういう若者との公平は確保したほうがいい。

ただしね、やっぱり家の環境や社会的な状況によって高等教育のチャンスが妨げられるのは極めて問題だ。私の今、事務所をときどき手伝ってくれるシマダ君という若者がいるんですが、彼は東大生3年生の理学部数学科、私彼としゃべってもよくわからないような話を時々します。

彼は高知市の生活保護家庭から大学に行ってる。受験をするときは10万円を貯めるのが大変だったそうです。お金を貯めるとね生活保護費が減らされるの。生活保護家庭の子供っていうのは大学に行くんだったら働いてくださいっていうことになってるんです。それはおかしいだろうと。特にいま貧困の連鎖が言われている中で、やっぱり若い人たちが親の所得にかかわらず専門学校や大学に行けるようにしたほうがいい。

そして、それは法律に書くことも一つの方法かもしれないけども、憲法に書くことで優先的に予算を確保できね、もう後戻りしないという国民的な合意ができるから、定めたほうがいいっていうのが私の一つの提案なんです。

二つ目にですね、緊急事態です。

今日も朝からミサイルでかなり大騒ぎになりましたけども、様々な緊急事態がありえる。

主権制限も必要でしょう。私も東日本大震災経験したから、主権制限の必要性は感じている。よおく考えてみると、主権制限というのは憲法でもすでにかなり書かれてるんですね。

例えば憲法22条の職業選択の自由。例えば危機的な状況になったときに自衛官の皆さんはみんなやめたとなったら困りますよね。大災害のあったときに危ないからといって医療関係者がいなくなってしまったら困りますよね。そういうときは職業選択の自由を制限してでも残って頑張ってもらわなければならない。

そしてもう一つは財産権ですね。原発事故が起こったときに逃げてくださいといって、いや、私はこの家が財産ですからといって残ってしまうとこれは困る。これも制限しなくてはならない。

ただ、憲法22条と29条には公共の福祉についての制約が書かれているから、憲法を変えなくても法律でできるんですよ。

一方でできないのは選挙の先延ばしは緊急事態においても国政選挙はできないです。

6年という任期が参議院に定められていて、衆議院については任期満了4年だと。

それはあの東日本大震災のときに東北で地方選挙ができなかったと同じようにそれぞれの衆議院や参議院が自分の意志によって選挙の先延ばしをしていかなる事態においても法律を通し予算を通せるようにしたほうが良いというのが私の考えです。

ここまで言ったうえですみません、本題に入りますね。

地方分権、地域主権の問題なんですが、憲法には8章という条文があります。

ぜひ皆さん読んでみてください。わずか4条です。

考えてみてください。国は国会がありますね。内閣がありますね。財政に対する規定もある。何十条もあって相当細かく書かれている。今地方の時代とか国と地方は対等だと言われているけど、憲法にほとんど何も書いていないです。

これは、私は戦後の、国が中心で動かざるを得なかった時代の反映だと思っているので、きちっと書いた方がいい。まずは地方に政府があることを書いたほうがいいですね。

地方公共団体って一体何なのでしょうか?地方公共団体。

政府のことを言ってるのか、行政のこと言ってるのか、議会のことを言ってるのか、はたまたそのエリアのことを言ってるのか非常に曖昧模糊としてよくわからない。

地方政府というのをきちっと書いたほうがいい。

そしてその地方政府は政府なんだから、しっかりと条例を定められるということを明確にしたほうがいい。それも法律の範囲ではなくて。

特区というのがありますね。石破大臣も相当頑張られた。良いと思います。特区というのはお目こぼしの規制緩和なんですね。

つまり地方が自分で判断をして決めることはできない、国の許可が必要なんです。

それを条例が法律を上乗せをする横出しをするということができれば相当自由に様々なルールを定めることができます。

税金もそうですね。課税自主権については憲法に明確にかかれていない、地方は。

まあ、従って地方の税の自由度は一応あることにはなってるんだけども非常に制約をされた中でほとんど自由にやってるところはないですね。

そしてラストリゾートは地方交付税だったり補助金だったり国が最後は助けてくれる。これで地方が自立できるわけがない。地方政府があり、そこにしっかりしたですね、法律に負けないくらいの条例が定められ、そして税金がとれるようになれば相当変わります。

そして最後に私が一つ提案をしたいのは、地方議会も変えたほうがいい。

考えてみたらですね。地方議会というのは全く同じ仕組みになっているんですが、さすがにこれはね、これだけ大きな自治体に開きがあるのはおかしいんですね。例えば東京都の議会、1,300万人の人口を擁する東京都の議会、知事がいますね、そして議会がある。二元代表制。

一番小さい自治体は青ヶ島村というとこですね。140人に満たない人口なんです。

10万分の1です。にもかかわらず二元代表制で同じように村長さんがいて議会ができてる。

140人で二元代表制って必要ありますか。私は自治体のそれぞれのやり方でやっていい。議院内閣制のような形でやってもいいし、二元代表制でもいい。これからの時代ですね、デジタル時代だから議会なんかももしかしたらですね、常にデジタルに住民の意向を反映できるかもしれない。

となれば議会自体の在り方って変わるかもしれないです。それくらいの発想に立って地方が元気になるためには、憲法できちっと幅をもってやれるということだけは書いたほうがいいという議論をできればこれから始めていきたいと思っております。

今日はこれから皆さんからいろんな意見がでることを楽しみにしております。

どうぞよろしくお願い申し上げます。