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2017.05.29


ホリエモンこと堀江貴文氏の呼びかけがきっかけで設立された「地方議員ゼロの会」は、「報酬ゼロ、議員ゼロ、直接民主制システム(より民意を反映できるシステム)の構築」を党是に掲げ、 “専業議員(議員を職業としている職業議員のこと)”をゼロにし、本職を持つ “兼業議員”を増やすべく東京都議会議員選挙(7月2日投開票)での候補者擁立を発表しました。

同会の代表を務める飯田佳宏氏に例のペーパーに対しての意見を伺うため突撃インタビューを敢行しました。


 

仁木「突然のインタビューに応じてくださりありがとうございます。早速ですが、このペーパーを読んでどういう感想を持たれましたか?」

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飯田「まず、素晴らしい内容であるという私の評価を前提にお話をさせてください。様々な問題が提起されていますが、私個人の問題意識としては、全ての問題は社会の中における『個人の保身』であり、必要以上に自分の身を守ろうとしているというところから来ていると思います。」

仁木「と言いますと?」

飯田「例えば、アマルティア・センの人間の安全保障という考え方がありますが、人間はその安全を保障されていなければ、間違った方向に平気で進みます。極貧に限定されているものではないということです。飯食わせておけば大丈夫というものではありません。自分を保身する気持ちというのは頭が良くても悪くても金持ちでもそうでもなくても変わらないと思います。その意味で現在の外務省をはじめとした人間の安全保障の考えは少し限定しすぎていると感じています。」

 

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仁木「なるほど。」

飯田「恐れや脅威を何かのせいにしたいという気持ちは当然あるかと思います。問題の認識としては共感していますが、私とは問題の根源的な要因に対する認識やソリューションが若干異なっています。」

仁木「その根源的な要因やソリューションについて詳しく聞かせてください。」

飯田「前提として、一人あたりGDPの競争から逃げている感がありますよね。なにくそという気持ちで、それを諦めてはいけない。前々回の知事選のときに細川さんが選挙期間中、唐突にゼロ成長でも大丈夫な社会を作ろうとおっしゃったのは方向を間違ったかもしれないなと感じましたがいい例でしょう。」

飯田「そもそも、お金を稼ぐということは社会に貢献しているということですから、この価値観を明確にしなきゃいけないと思います。人の役に立っているからお金が稼げるんだということです。このルールを整備するのが政治の役割です。悪意のある者が社会をの中で悪質な稼ぎをしていることを排除する。これが現在できているのか疑問です。」

飯田「生産性の向上でGDPは上がるわけで、人口減少でも必ず上げることができます。戦後から人口は約1.7倍増えただけですがGDPはドルベースで約50倍になっているわけです。一人あたりGDPを高めることに集中すべきです。このペーパーには、そういった力強さが感じられなかったです。」
 

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仁木「どうすればいいと思いますか?」

飯田「社会をより合理性を追求したものにしていかなくてはなりません。このペーパーは「わかってくれよ」的な表現で、ぶった切る意思を感じない文章ですが、ここに書いてある通りにすれば良いのです。このペーパーが言いたいことは、大胆な社会保障改革をしたいということなんだろうと思うのですが、それに向かう強い意思が感じられず、自己矛盾の塊に見えてしまいます。官僚らしい保身的な文章であり、官僚らしい矛盾のある文書だと思いました。」

仁木「確かに、それは違和感を感じた原因の一つかもしれません。具体的な案などはありますか?」

飯田「具体的には職業議員の排除から始まる規制緩和です。そしてチャレンジングに生きられる社会にするために、失敗に対するデメリットを社会として極力下げる。そしてそもそもの個人の能力を高める。教育ですね。教育だって規制緩和をどんどんするべきです。スタンフォードの人が『やり抜く力』と言っていますがそれも教育の分野に入るとして、能力を自分の好きなこと、社会に貢献することに使えるような仕組みにするべきです。現在は能力のある人が官僚になっても、自分の防御壁を構築するためにその能力の過半を使ってしまっているのではないでしょうか。」

仁木「他にはありますか?」

飯田「後は、取引の公正化です。不公正な取引によってベンチャーや中小企業が割を食っていると思います。大企業に有利な環境があり、法の支配が通じていない社会が実際にあります。弁護士も足りないし働いていない。法制度が被害にあっても被害者がそれを証明しない限り、加害者が責任を問われることのない過失責任主義であり、中小企業や個人の訴訟負担の少ない無過失責任主義にしていかないと、こういったことはなくならないでしょう。」

飯田「人間というのはろくでもないものですが、人間が悪いのでは無くて、法の支配が効いていないのが悪いのです。」
 

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仁木「なるほど。ペーパーではGDP以外の指標が出てきていますね。」

飯田「幸福尺度なんて入れるとろくでもない社会になると思います。そういったあいまいな判断基準、評価の難しいものを入れると政治家の逃げ道になります。40ページ目にグラフがありますが、一人あたりGDPでも明確にノルウェーに負けているのは事実なんですから、いいからノルウェーを抜かせと、一位になるんだという気持ちを持つことが大事です。東京だけでも一位になるんだという意思が必要です。それにより社会全体が牽引されるのです。)」

仁木「今の東京はどう見えますか?」

飯田「東京も資本主義社会と感じないところがあります。私は北海道にいたのですが、中国みたいなところだなと、自民党もまた中国共産党みたいだなと思っていました。資本家は税金で資本家になっている。稼いでいないんです。稼いでいるひとは政治に関わりたくなくなる。例えば、既得権層のうちA派閥とB派閥で川にするか道路にするかみたいな、橋にするかトンネルにするかみたいな争いをしているわけですよね。東京だったらちゃんとしているんじゃないかと思ったら、各種業界団体をくっつけた各種団体連絡協議会の事務局が自民党都連内にあり、予算要望を出して税金の分配に影響力を持っているわけです。ビジネス基盤を持った人たちの集合体だから悪い人たちではないのですが、よくまあこんなもの作ったなみたいな。そこだけ見れば中国共産党と変わらない構造でしょう。」

仁木「タックスイーター側が政治に強い影響力を持っている現実があるのかもしれません。人々と社会の関わり方についてはどう思いますか?」

飯田「若者が社会貢献を諦めて自分中心的になっているというのは、間違った批判をしていると感じました。私が考える想定されるべき社会というのは、自分を幸せにするということと社会のためになるということを一致させていく社会です。自分をしたいことはなんなのか、好きなことはなんなのかと、自分を中心に考え実践する。それが社会のルールの上で、ニーズと合致すればそれは社会貢献となり、社会はより豊かになることができます。」

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飯田「たとえば、障がいを持つ方は今まで放っておかれていました。しかし、昔から障がいを持つ方のため、社会全体が不断の努力をしていれば、高齢社会になり、介護が必要なり、動けない方たちが多く出てくる社会となった時、こういった人たちが普通に活躍できる社会を作っていたなら、もっと違う考え方で、超高齢社会をとらえることができたでしょう。障がい者を取り巻く問題は『保護してあげるから他人に迷惑かけないようにしようね』というスタンスを取る社会側に問題があるという認識で、もっと自分中心に動いてもいいとメッセージを送りたいです。」

仁木「たしかにそうですね。」

飯田「人間は必ず役に立つ居場所が社会にあるという認識が大事です。企業と社会の違いで考えると、企業は困ったときは不要なものは切り捨てて、よりよいものに集中して復活していくわけです。しかし、社会というものは絶対に個々人を切り捨てることはできません。社会にマイナスの人間がいたとしても切り捨てることはできません。そういった場合は、ゼロに近づけるだけで全体はプラス方向へ向かいます。貧困にもマイナス10の貧困とマイナス100の貧困があるんです。教育すれば戻る人もいる。戻らない人は生活保護で、のんべんだらりとパチンコでもやらしておけば社会に迷惑はかけないわけです。パチンコも取り上げる、酒も飲んだらだめとなったら家に火をつけるかもしれません。そうすると社会にとってより大きな損失となります。」

仁木「飯田さんの発言にもだいぶ火がついてきた気がします(笑)」

飯田「よりよくするというのは何でもかんでもプラスにするのではなくて、マイナス100のやつをマイナス50にするだけでもいい。刑務所にいれたら一人300万かかるわけです。北海道であったのですが、生活保護をもらいながら覚醒剤をやっていてとんでもないと。確かにとんでもないのですが、覚醒剤やるようなやつだから生活保護もらうわけです。生活保護を取り上げたらより凶悪な犯罪を起こします。なんとか人に迷惑かけないように社会を合理的に整えていくことが大事です。私は、彼らに必要なのは罰ではなく、医療だと考えていますので、それを前提にお話しています。」

飯田「企業も社会も全ての人に上手に居場所を作ることができたら都市間国際競争に勝てるんです。例えば、障がい者は弱者だから税金で保護しておけばいいって考え方ですが、アメリカとかイスラエルとかは、そういう方々を積極的に活用しています。目を背けたらだめなんです。障がい者は健常者より劣っているという社会的な考え方があるから保護しようとなってしまうわけですが、健常者に近づけるという考えではなく、工夫次第でどのような環境にあっても個人が活躍できる居場所があるという考え方でより良い社会は必ず作ることができるしょう。」

仁木「なるほど、勉強になりました。最後に言い残した事があればおっしゃってください。」

飯田「シルバー民主主義に批判的な論調ですが、ファシズム化に向かわせないためにも、投票いかない人に500円くらいの少額の負担金を支払う制度の創設などは面白いんじゃないでしょうか。義務投票までしなくてもいいと思いますが、棄権するコストを可視化することになると思います。私は今の制度の中で頑張りますが、社会がファシズムに向かうようなことがあるなら、あなた方から言ってください(笑)」

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仁木「面白いアイディアですね!参考にします!本日は、選挙前のお忙しいところ、ありがとうございました!」

飯田「ほんと、分厚いPDFが送られてきて選挙準備の妨害かと思いましたが(笑)、とても楽しくためになる機会でした。いつでも宜しくお願いいたします!」


(インタビュアー:一般社団法人ユースデモクラシー推進機構 代表理事 仁木崇嗣) 

 


 

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<プロフィール>
飯田佳宏(いいだ・よしひろ)地方議員ゼロの会代表
1973年 北海道天塩町生まれ。北海道にて夜間大学在学中に型枠大工、解体工、鳶、お豆腐屋さん、あんこやさん、営業、トンネル防水工事、お弁当屋さん、建設作業員、道路作業員、宅配、冷凍船やトラックの荷おろし、軽貨物運送業などをこなし、自営業の後、衆議院議員会館に勤務、現在、小さなベンチャー投資家、企業顧問・マーケティングアドバイザーなどを務める。