日本国憲法の間接的源流と言われる『東洋大日本国国憲按』の起草者である植木枝盛は、当時24歳。
美智子皇后陛下に「長い鎖国を経た19世紀末の日本で、市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして、世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います(2013年の誕生日関する記者会見)」とまで言わしめた『五日市憲法』の起草者である千葉卓三郎は、当時29歳。千葉卓三郎と共に議論を深めた深沢権八は、当時20歳。
当時の20代の若者たちが見ていた「未来」は、今の私たちの生きている社会にどう繋がっているのでしょうか。
そして、その記憶を私たちは正しく引き継いでいるのでしょうか。
中央集権的な政治体制からの脱却を目指して盛り上がった国民運動である自由民権運動は、決して一部のエリートや現状に不満を持つ人たちだけの運動ではありませんでした。
全国に(判明しているだけで)2,000社以上の民権結社と呼ばれる学習会が存在し、市井の人びとと共に自由民権思想の啓蒙が行われていたという研究もあります。
(『日本の歴史 25 自由民権』永井秀夫著・小学館より引用)
開国から明治維新の時代を生きた若者たちは、「未来」を自分たちの手で創っていくために、変化に適応しながら普遍的な価値を学び吸収し、再構築していこうとしていたのではないでしょうか。
翻って、現代においても当時のような大きな時代の変化が起きつつあります。
特にデジタルテクノロジーの進歩によって、人間の生き方そのものが変わってくる時代は近いでしょうし、あらゆるテクノロジーが社会変革に向けてしのぎを削っているといえるでしょう。
そのような時代を生きる若者たちが、自由民権期と同様に命がけで真剣に「未来」を考える。
そのきっかけに「デジタル憲法フォーラム(デジ憲)」がなれば良いなという思いで、企画しました。
非連続的な「デジタル」と、過去・現在・未来をつなぐ連続的な「憲法」の融合。
ここにこれからの社会に必要な考え方が集約されているように思います。
限られた人たちが集う古い「世代」の政治を超えて、一緒に「未来」へ向かう人の支えになるのが今を生きる私たちの役割なんだと思います。
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