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2017.05.06


2017年4月29日、デジタルハリウッド大学大学院(東京都千代田区)において、「デジタル憲法フォーラム(デジ憲)」を開催いたしました。

「デジタルネイティブと考えるデジタル時代の憲法と地域の未来」をテーマにゲストスピーカーによる講演と、先進的な領域における若者・現役世代の実務者によるトークセッションを行いました。

_HO53391100名を超える方々にご来場いただき、憲法をテーマとしたイベントでは珍しく平均年齢35歳(10代~70代)と比較的若いながらも多世代の方にご関心を持っていただいたイベントとなりました。

冒頭、主催団体を代表し仁木崇嗣(一般社団法人ユースデモクラシー推進機構代表理事)より「明治初期に20代や30代の若い未来志向の人びとによって作られた「私擬憲法」は、地方自治の精神が強く表現されており、その気持ちに立ち戻って憲法と向き合っていくべき」という趣旨の挨拶をさせていただきました。

イベント前段のゲストスピーカーによる講演では、最初に、防衛大臣や農林水産大臣、地方創生担当大臣を歴任した石破茂 衆議院議員にご登壇いただきました。

ご講演では、国家主権を構成する要素である「領土・アイデンティティを共有する国民・統治機構」のうち、人口減少社会により「国民」が10分の1になる未来が近づいており、国家主権が崩れつつある「静かなる有事」が起きていることを提示した上で、地方の政治が「お任せ民主主義」になっていることを指摘し、田中美知太郎(哲学者)の「投票のときに主権者というからには、自分が為政者なりせばどうするかということを考えて投票しなければ、それは主権者でもなんでもない」という言葉を紹介しながら、地方創生が失敗するのは「やりっぱなしの行政、頼りっぱなしの民間、全然無関心の市民、三位一体になったときにそれは終わり」と述べ、民主主義の厳しさ、人びとが主権者としての自覚を持つことの重要性を述べられました。

▶【全文書き起こし】デジ憲・石破茂氏(ゲストスピーカー講演)

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続いて、民主党政権時に原発事故対応を担当し、担当大臣を経て、環境大臣を兼任、今年4月に憲法改正私案を公表したばかりの細野豪志 衆議院議員にご登壇いただきました。

ご講演では、施行から70年を迎える日本国憲法は日本に定着してきたと指摘しつつも、時代の変化に対応できていない箇所は変えたほうが良いと述べ、冷戦時代からつづく護憲か改憲かという議論から脱却し、どういう改憲ならいいのか、どういう憲法なら国民に受け入れられるのかを議論すべきと主張され、また、教育の無償化の重要性や緊急事態条項のほか、地方自治については第8章がわずか4条であることに触れ、「憲法にはほとんど何も書いていない」と指摘、「地方政府」として明記し、法律の範囲ではない条例も定められる立法権に加え、課税自主権についても明記すべきと述べました。併せて、地方議会の形式も自治体それぞれのやり方で自主性に任すべきであり、さらにこれからのデジタル時代においては、常にデジタルに住民の意向が反映できるようになれば、議会自体の在り方も変化する可能性を指摘されました。

▶【全文書き起こし】デジ憲・細野豪志氏(ゲストスピーカー講演)

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ゲストスピーチの最後は、国会議員に連続5回当選し、厚労副大臣、内閣府副大臣を経て、首長に転身された大村秀章 愛知県知事にご登壇いただきました。

ご講演では、農水省勤務時代に徳島市役所へ4年間出向したことに触れ、国、県、市の全てで仕事をしたことがある経験を踏まえた上で、地方分権・分権改革を進めていかなくてはならないとの考えから、第8章の地方自治を飛躍的に強化するために、憲法の前文である理念に地方自治を明記すべきとの持論を展開し、「地方政府」というキーワードを憲法にはっきりと書きこむべきと主張されました。併せて、税・財政の自立独立に加え、立法権を強化し、法律と同等の条例制定を可能とするよう改めるべきと述べられました。さらに、地方の代表を国会に送り込むような枠組みや、憲法に財政規律や財政の健全性に関する条文をいれるべく議論するべきと提起されました。また、デジタル時代においては「ヒト・モノ・カネ・情報」が集まる所が発展すると述べ、アジアでは日本はシンガポールに完全に負けていると指摘。稼ぐ力をもう一度取り戻すために、分権と規制改革を進め、経済・産業を強くするために現場力の強化を推進すべきで、分権こそが成長戦略であると述べられました。

▶【全文書き起こし】デジ憲・大村秀章氏(ゲストスピーカー講演)

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質疑応答では、ゲストスピーカーの3名に対し、オブザーバーのみならず来場者の皆さまからも、リアルタイム質問ツール「Sli.do」を通して活発な質問が寄せられ、双方向のやりとりが行われました。

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イベント後半では、先進的な領域の若者・現役世代の実務者を代表して、「インターネット投票」領域からは市ノ澤充氏(株式会社VOTE FOR 代表取締役)、「フィンテック/ブロックチェーン」領域からは勝木健太氏(「ブロックチェーン・レボリューション」翻訳協力者)、「PPP(公民連携)」領域からは川島京子氏(Creative Smash株式会社 代表取締役)、「お笑い・エンターテインメント」領域からはたかまつなな氏(お笑いジャーナリスト/株式会社笑下村塾 代表取締役)、「シェアリングエコノミー」領域からは但野謙介氏(一般社団法人シェアリングエコノミー協会事務局/南相馬市議会議員)、「シビックテック」領域からは矢崎裕一氏(Code for Tokyo 代表/「RESASの教科書」共同執筆者)の6名のオブザーバーにご登壇いただき、オブザーバー同士で「20年後の未来」について各自の未来ビジョンを述べていただき、会場からの質問を受けたフリートークを展開しました。

 

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なお、イベント全体を通して、リアルタイム質問ツール「Sli.do」を使った来場者は62名で、合計162件の質問投稿、364件の「いいね」がつきました。

 

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イベント終了後、仁木代表理事は政治山の取材に対し、「実験的な取り組みでしたが、来場者は10代から70代まで幅広く、多世代がオンラインとオフラインを行き来しながら『未来』を考える機会になったと思います。明治初期の若者たちが未来を見据えて議論をし、私擬憲法として提起したように、私たちも『憲法』に向き合うためには、自分たちの手で『未来』を創っていくんだという意志を持たなければなりません。今回のイベントがそのきっかけになったとすれば主催者として本望です」と述べました。

 

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(Edited by Takatsugu NIKI/Photo by Sho FUJII)